流山おおたかの森きぬ皮フ科クリニック

DERMATOLOGY
一般皮膚科

かゆみ

湿疹・皮膚炎

皮膚科を受診する人のほとんどが、湿疹・皮膚炎と診断されます。さらに、その大部分が、刺激やアレルゲン(アレルギー症状を起こす物質)、紫外線などの外的刺激によるものです。明確な原因は分からないことが多いですが、おひとりおひとりの生活環境や生活習慣をお聞きすることによって、原因のヒントが得られることがあります。
湿疹は、発症してからの日数などによって、急性と慢性に分けられます。
湿疹・皮膚炎の治療は炎症を抑えるステロイドの塗り薬が治療の中心となります。かゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬の飲み薬や局所のクーリング(保冷剤などで冷やすこと)が有効です。

主婦性湿疹(手湿疹)

手は角質が厚いため、強めのステロイドの塗り薬を使用したり、ステロイド含有のテープを貼って治療します。

汗疱、異汗性湿疹

手の平や足の裏に限局して、数ミリ程度の小さいみずぶくれが多発します(汗疱)。水ぶくれを破ると強いかゆみがあります。季節の変わり目などに繰り返すことがあります。湿疹の治療を行います。

虫刺され(虫刺症皮膚炎)

虫(蚊・ハチ・ブユ等)に刺されたことによる、皮膚の炎症です。湿疹と同様の治療をします。

かぶれ(接触皮膚炎)

湿布かぶれやおむつかぶれなど、原因となる物質が接触した部位に一致して、あかみやぼつぼつ、水疱(みずぶくれ)、ときにはかさぶたなどもみられます。
アレルギー性接触皮膚炎の原因となるのは、金属が有名ですが、他にも食物や日用品、化粧品などで生じることもあり、パッチテスト(貼付試験)が有用です。当クリニックでは、パッチテストパネルを採用しています。他にも調べたい項目があればお気軽にご相談ください。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の診断に必要なのは、慢性的に繰り返すかゆみのある湿疹・皮膚炎が特徴的な場所にできることです。乳児期で2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上を慢性としています。乳幼児では顔、小児では肘裏や膝裏、それ以降は上半身などに症状が出ることが多く、しばしば全身に広がり、乾燥を伴います。患者様の多くが、アトピー素因(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎の家族歴、既往歴)を持ちますが、アレルギーの有無の証明は診断に必須ではありません。ただし、生活環境などの注意喚起などを目的とした血液検査等をご希望される場合はご相談下さい。治療は塗り薬での治療がメインになりますが、普段のスキンケアや環境整備も非常に重要になります。

脂漏性皮膚炎

成人の頭皮やTゾーンでよくみられます。かゆみはあまりないことが多いですが、ふけを気にされて、きれいに洗ってもなかなかよくならないと受診されることが多い病気です。抗真菌薬等の塗り薬を使用する場合がありますが、これは、皮脂が皮膚の常在菌によって分解されたあとの物質が、皮膚に刺激を与えることが原因とされているためです。

貨幣状湿疹

冬場に多くみられます。名前の通り、貨幣(コイン)のような、まるい大きな湿疹がすねや背中に多発し、自家感作性皮膚炎に移行することも多いです。

自家感作性皮膚炎

一種のアレルギー反応です。貨幣状湿疹や足白癬などがおおもとにあって、それが急激に悪化することで、全身にかゆみのあるあかみ、ぼつぼつが広がる状態のことを言います。ステロイドの塗り薬と抗ヒスタミン薬の飲み薬で治療をすることが多いです。元々の病態にもよりますが、当クリニックでは紫外線治療を行うこともあります。

うっ滞性皮膚炎

多くは、足のむくみから生じるすねの湿疹です。皮膚が硬くなり、治りにくいきずができることもあります。長時間の立ち仕事や静脈瘤が原因となることもあります。治療としては湿疹の治療に加え、弾性包帯などで圧迫することが大切になります。静脈瘤については外科的治療等が必要となりますので、必要に応じて適切な医療機関へご紹介致します。

皮脂欠乏性湿疹

冬場や高齢者などでみられる、乾燥性の湿疹です。乾皮症とも言います。保湿剤を頻回に外用する必要がありますが、湿疹病変ができてしまった場合は炎症を抑えるためにステロイドの塗り薬でまず治療してから、スキンケアを行います。適切なスキンケアを行うことで、湿疹の病変ができにくくなります。

痒疹

強いかゆみを感じるぼつぼつやしこりができます。かきむしること(そうは行動)で悪化します。塗り薬だけでは治療がうまくいかない場合は、ステロイド含有のテープを貼ったり、紫外線治療、一時的にステロイドの飲み薬を使用することもあります。

皮膚瘙痒症

みためでは、あかみやぼつぼつはないにもかかわらず、強いかゆみがみられます。肝機能障害や腎機能障害、糖尿病などの疾患や、乾燥や加齢、心理的側面が関与することもあります。全身に原因不明のかゆみがある場合は、血液検査などを行います。
抗ヒスタミン薬などの飲み薬や保湿剤による治療が主となりますが、難治であることが多いです。何もできていない皮膚も、かいていると刺激によって皮疹が生じるため、湿疹病変ができている場合には、ステロイドの塗り薬も使用します。

じんましん

全身のどこにでも生じる、地図状、円形状の、みみずばれのようなあかみ、かゆみで、数時間から24時間以内で消退するのが特徴です。特定の食べ物や薬剤で生じることもありますが、多くは特発性といって、原因が特定できないことが多いです。
6週間未満で症状が終息するものを急性じんましん、それ以上続くものを慢性じんましんと呼びます。
治療としては、塗り薬は効果が乏しく、抗ヒスタミン薬の飲み薬が一番となります。症状の強さに応じて、他の効果の飲み薬を併用することが多いです。
慢性じんましんでは、複数の飲み薬を併用して長期間にわたり飲んでいただくことや、日常生活のなかのストレスと密接に関わって症状が変化するため、おひとりおひとりの生活環境や生活スタイルに合わせた治療が必要です。
例えば、昼は飲み忘れてしまうことが多い、生活が不規則で食事に合わせて飲むことが難しい、眠気は出て欲しくないがしっかり症状をおさえたい、などのご希望があれば、お気軽にご相談下さい。
飲み薬だけでは治療が難しい場合は、症状を抑える注射薬の検討や、それでも重い症状が続く場合は、適切な医療機関へのご案内をさせていただくことがあります。

疥癬

ヒゼンダニの感染により、全身に強いかゆみ、ぼつぼつやあかみが生じます。特に、手の平や指の間、陰部などに好発します。高齢者施設などの集団生活で乾癬が広がります。イベルメクチンという飲み薬やかゆみどめの塗り薬などで治療します。

痛み

皮膚科で扱う痛みのある病気は主に感染症と機械的刺激によるもの、痛みを伴う皮膚の腫瘍があります。感染症の場合、周囲の方にうつしてしまうこともあるため、またお痛みを長期間抱えて生活することはお辛いことですので、早めにご相談下さい。

たこ・うおのめ(胼胝(べんち)・鶏眼(けいがん))

足の裏にできることが多く、物理的な圧迫によって、部分的に皮膚の角質が厚くなっている状態です。痛みがある場合はけずる処置をします。足の形や歩き方などは、個人差があり且つ変えることが非常に困難であるため、数か月で同じ部分が分厚くなり、痛みの再発につながります。そのため定期的な処置が必要になります。
うおのめの場合は、その名の通り、芯のようになった角質の中心があるので、その中心部を取り除く処置で痛みが改善します。

口唇ヘルペス・陰部ヘルペス(単純疱疹)

単純ヘルペスウイルスによる感染症です。口唇や陰部に痛みのある小さな水ぶくれができます。ストレスや風邪などをきっかけに症状を繰り返すことがあります。抗ウイルス薬の飲み薬や塗り薬で治療を行います。

帯状疱疹

水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化による感染症です。神経節に沿った分布のため、からだの一部分の片側に偏った皮疹が生じます。典型的には数日前から痛みがあり、それから遅れて痛みのある部位に一致して、あかみやみずぶくれができて広がります。その後みずぶくれはかさぶたに変化し、治っていきます。経過中に、深いきず(潰瘍)になることもあります。
頭部にできると頭痛がしたり、顔にできると顔面神経障害や、陰部にできると排尿障害などを伴うことがあり、合併症にも注意が必要です。
基本的には水痘(水ぼうそう)は空気感染するウイルスのため、周囲に1歳前の水ぼうそうにかかっていない(または水ぼうそうのワクチンを接種していない)お子様がいる場合は、水ぼうそうとしてうつることがあるため注意が必要です。
抗ウイルス薬の飲み薬などで治療しますが、重症度に応じて入院や抗ウイルス薬の点滴加療が必要になることもあります。
初期に、しっかりと痛みのコントロールをすることで、後述する帯状疱疹後神経痛が長引かないため、十分な量のアセトアミノフェンの飲み薬を使用します。
きずには適切な塗り薬のご案内をさせていただきます。
また患部をあたためることで痛みが和らぐため、そのような指導も行っていきます。
ストレスや免疫の低下によりウイルスが元気になってしまっている状態のため、なるべくおからだを休めて、無理をしないようにしてください。

帯状疱疹後神経痛

前述した帯状疱疹の皮疹が治ったにも関わらず、同じ場所に痛みだけが残ってしまう状態です。個人差がありますが、人によって数ヶ月~数年にわたって、強い痛みに悩まされることがあります。治療としては痛み止めの飲み薬のコントロールがメインになりますが、ペインクリニック等麻酔科専門医をご紹介させていただき、専門的な治療をしていただくこともあります。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

片側のすねなどに突然生じる皮膚の感染症です。みためでは分からない微小なきずや足のみずむしなどから入り込んだ細菌が原因となります。糖尿病や足のむくみなどは状態を悪化させる要因となります。皮膚には赤み、痛み、腫れ、熱感があり、発熱や関節痛などの全身症状を伴います。治療としては、抗菌薬の飲み薬や、重症度に応じて入院加療や抗菌薬の点滴加療が必要になることもあります。なるべく安静にすることも重要です。血液検査で白血球や炎症反応を調べて、重症度や治療効果をみますが、ときに壊死性筋膜炎や敗血症といった命に関わる皮膚の感染症に進行してしまうこともあるため、慎重に経過を追う必要があります。

炎症性粉瘤(炎症性アテローマ)

粉瘤は、毛の多い部分に生じやすい、盛り上がった肌色のしこりです。大きいものは数センチになることもあります。皮膚表面が袋状のようになり、袋の内部にあかが溜まっていき、徐々に大きくなります。しこりの表面には小さな穴が開いており、そこから細菌感染することで炎症が起こり、あかみ、痛み、腫れを伴った炎症性粉瘤となります。内部に膿を持つようになるため、局所麻酔の注射をして、膿を出す処置(ドレナージ)が必要になります。手術で、しこり自体をとりたい場合は、感染のコントロールが落ち着いた2ヶ月後程度を目安に、局所麻酔での手術を行います。

グロムス腫瘍

指の爪の下にできる良性の皮膚腫瘍です。圧迫したり水にあたると強い痛みを感じることが特徴です。原則手術での治療になりますが、必要に応じてレントゲンや超音波などの画像検査が必要になるため、他の施設にご紹介させていただきます。

できもの/しこり

ほくろ(色素性母斑)

黒か茶色のできものでからだのどこにでもできます。いわゆるほくろは、うまれたばかりの赤ちゃんには存在せず、3歳頃からできはじめ、次第に増えます。黒あざと呼ばれる数センチからときには20センチになるものは、うまれたときから存在し、成長とともに大きくなります。基本的には経過観察でよいですが、悪性黒色腫との鑑別が重要になるため、ダーモスコピーという皮膚の拡大鏡で検査をして、万が一悪性が疑われる場合は外科的手術の上病理組織学的検査が必要です。

粉瘤

肌色の、盛り上がったしこりができます。大きいものは数センチになることもあります。感染していない場合は、様子をみることが多いですが、希望される場合は局所麻酔での手術を行います。

炎症性粉瘤(炎症性アテローマ)

粉瘤は、毛の多い部分に生じやすい、盛り上がった肌色のしこりです。大きいものは数センチになることもあります。皮膚表面が袋状のようになり、袋の内部にあかが溜まっていき、徐々に大きくなります。しこりの表面には小さな穴が開いており、そこから細菌感染することで炎症が起こり、あかみ、痛み、腫れを伴った炎症性粉瘤となります。内部に膿を持つようになるため、局所麻酔の注射をして、膿を出す処置(ドレナージ)が必要になります。手術で、しこり自体をとりたい場合は、感染のコントロールが落ち着いた2ヶ月後程度を目安に、局所麻酔での手術を行います。

にきび・ざ瘡(尋常性ざ瘡)

毛穴の詰まりや、アクネ菌などの嫌気性菌(空気を嫌う菌)により、炎症が起こる状態です。思春期にきび、ふきでもの、白にきび、赤にきび、黄色にきびとして知られています。毛嚢炎、毛包炎とも言います。生活習慣やストレス、月経周期やホルモンバランスなども関係しています。にきびの症状は、良くなったり悪くなったりといった波がありますが、その波をなるべく低い(症状が少ない)状態にして、良い状態を保つことが、治療の目標です。
治療としては、抗菌薬の塗り薬、飲み薬により、できているにきびを治すものと、ピーリング作用のある塗り薬などで、これからできるにきびや、にきび予備軍たちを抑える、予防の治療の2本の柱があります。面皰圧出法(めんぽうあっしゅつほうとフリガナ)も適切に行えば効果があります。症状に波があること、また、塗り薬や飲み薬の効果が出るまで、長いと3ヶ月程度かかることもあるため、根気よく治療を続けることが必要です。
一般的にはあまり知られていないことですが、保湿のしすぎはにきびを悪化させます。1日2回、おひとりおひとりに合った洗顔料を使用して洗顔を行い、その後適切に保湿することをおすすめしています。

自由診療による治療もございます。にきび自費はこちら

いぼ(尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい))

ウイルス性のいぼです。手足や顔に好発する硬いうおのめのようなできものです。お子様では、機械的刺激や荷重によって、たこやうおのめができることは稀なため、“小児のうおのめ”と聞くとほぼ間違いなく、このいぼの診断になります。
液体窒素による凍結療法を行います。ヨクイニンエキス(ハトムギの成分)の飲み薬や、活性型ビタミンD3の塗り薬、スピール膏といって角質を剥がすような貼り薬による治療を併用することもあります。

いぼ(青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい))

手の甲などに、数ミリ程度のぼつぼつが多発します。かゆみを伴うこともあります。液体窒素による凍結療法ではおいつかないことも多く、ヨクイニンの飲み薬による治療がメインとなります。

加齢によるいぼ(老人性疣贅(ろうじんぜいゆうぜい))

脂漏性角化症とも言います。顔やくび、からだなどにできる高齢者に多いいぼです。しみから盛り上がってできてくることが多く、自覚症状は通常ありません。加齢現象のため、自然には治らず、徐々に増えてきます。必ずしも治療は必要ではありませんが、みための問題でとりたいとのご希望がある場合は、外科的手術や液体窒素による凍結療法、炭酸ガスレーザー治療(自費)などで治療します。⇒炭酸ガスレーザーによる治療はこちら(※医療機器のページに飛べるようにしたいです。)

稗粒腫(はいりゅうしゅ・ひりゅうしゅ)

目のまわりにできる1ミリ程度の白っぽいぼつぼつです。自然に治ることはあまりないため、注射針などで切って、内容物(あか)を出す処置をします。

毛孔性苔癬(毛孔性角化症)

にのうでのぼつぼつ、ざらざらで知られる、角化性の病変です。毛穴に一致した淡いあかみ、ぼつぼつができます。学童期から発症することが多く、思春期を過ぎると自然消退してきます。みための問題があるため、保湿剤の塗り薬や、角化を抑える塗り薬などで対症療法を行います。

軟性線維腫

アクロコルドン、スキンタグとも言われる、皮膚の良性腫瘍です。くびやわき、そけい部などにできる柔らかい肌色のできものです。一種の加齢現象になり、徐々に増えてきます。
当クリニックでは、液体窒素による凍結療法や外科的手術、炭酸ガスレーザーによる治療をします。⇒炭酸ガスレーザーによる治療はこちら(※医療機器のページへ)

毛細血管拡張性肉芽腫

化膿性肉芽腫とも言います。外傷などが原因となり、血管が増える反応で急にできる、赤く盛り上がるできものです。出血を伴い、血がとまらないという主訴で来院されることがあります。外科的手術や液体窒素による凍結療法、炭酸ガスレーザーによる治療を行います。⇒炭酸ガスレーザーによる治療はこちら(※医療機器のページへ)

脂肪腫

からだのどこにでも生じる、肌色の柔らかい皮膚のしこりです。多発することもあります。1センチから大きいものでは10センチ程度になることもあります。痛みを伴う場合は、病理組織学的に、血管脂肪腫であることが多いです。悪性化することは極めて稀ですが、徐々に大きくなるため、必要に応じて外科的手術による治療を行います。

その他の皮膚良性腫瘍

皮膚線維腫や神経線維腫、脂腺腫、エクリン汗孔腫など、他にも数えきれないほどの皮膚良性腫瘍があります。くびのしこりとして自覚するリンパ節腫脹などもあります。
ずっとそこにはあるけれど、大きさや色が変わらないできもの・しこりは、悪性ではない場合がほとんどです。
みためで大体の診断はつくことが多いですが、外科的手術でとって、病理組織学的な検査に提出しないと100%の診断がつかない為、診断をつけたい、他にも、見た目の問題でとりたい、擦れると痛みやかゆみがあるなどの症状があれば、お気軽にご相談下さい。

基底細胞癌

頻度の高い皮膚癌で、紫外線などが原因になり、高齢者の顔に好発します。中央部がきずのようになることがあります。急激に大きくなることはありますが、転移することは稀で、命の危険はほとんどありません。

日光角化症

紫外線の刺激によって、癌の一歩手前の状態のできものができます。あかみやかさぶた、なかなか治らないできものとして、高齢者の顔や手に好発します。病変とそうではない部分の境界が分かりにくいことが多いため、病変の一部を切り取って(皮膚生検)、病理組織学的な診断をつけてから、治療方針を決定します。治療は外科的手術や抗ガン剤の塗り薬、液体窒素による凍結療法があります。

有棘細胞癌

日光角化症ややけどの傷跡などから生じることもある皮膚癌です。あかみを帯びた硬いしこりで、悪臭を伴うこともあります。進行すると、リンパ節や内臓への転移をすることもある癌です。外科的手術や放射線治療、抗ガン剤治療をします。

メラノーマ(悪性黒色腫)

ほくろのように黒くみえる皮膚の癌で、急速に大きくなることが多いです。ほくろや加齢のしみやいぼなどとの鑑別が必要なので、ダーモスコピーという皮膚の拡大鏡で検査をして、悪性が疑われる場合は、迅速に対応いたします。

その他の皮膚悪性腫瘍

ボーエン病、乳房外パジェット病、脂腺癌、隆起性皮膚線維肉腫、血管肉腫など、他にも皮膚悪性腫瘍があります。それぞれの病気で、できやすい場所やみためは違いますが、比較的急速に大きくなり、痛みやかゆみなどの自覚症状は少ないことが多いです。皮膚のできものが自然に治らずに、色や形が変化してきた、出血するようになってきたなどご不安な症状があれば、早めにご相談下さい。当クリニックでは、皮膚悪性腫瘍を疑う場合は、迅速に近隣の連携病院等へのご紹介をしております。

お子様の皮膚トラブル

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の診断に必要なのは、慢性的に繰り返すかゆみのある湿疹・皮膚炎が特徴的な場所にできることです。乳児期で2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上を慢性としています。乳幼児では顔、小児では肘裏や膝裏、それ以降は上半身などに症状が出ることが多く、しばしば全身に広がり、乾燥を伴います。患者様の多くが、アトピー素因(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎の家族歴、既往歴)を持ちますが、アレルギーの有無の証明は診断に必須ではありません。ただし、生活環境などの注意喚起などを目的とした血液検査等をご希望される場合はご相談下さい。治療は塗り薬での治療がメインになりますが、普段のスキンケアや環境整備も非常に重要になります。

みずいぼ(伝染性軟属腫)

ウイルス性の数ミリ大のいぼが多発します。スイミングスクールなどでの感染が多く、基本的には大人にはうつりません。かゆみを伴うこともあり、かくことで、乳白色の内容物が排出されてしまい、受診されたときには病変がはっきりしないこともあります。数か月~1年程度で自然になくなることもありますが、かゆみや感染を広げてしまう確率が高いため、摘除による治療をお勧めいたします。当クリニックでは、麻酔効果のある貼り薬を患部に貼り、1時間後に摘除します。

いぼ(尋常性疣贅)

ウイルス性のいぼです。手足の指や手の甲や足の裏に好発する硬いうおのめのようなできものです。お子様では、機械的刺激や荷重によって、たこやうおのめができることは稀なため、“小児のうおのめ”と聞くとほぼ間違いなく、このいぼの診断になります。 液体窒素による凍結療法を行います。ヨクイニンエキス(ハトムギの成分)の飲み薬や、活性型ビタミンD3の塗り薬、スピール膏といって角質を剥がすような貼り薬による治療を併用することもあります。

とびひ(伝染性膿痂疹)

乳幼児に好発します。みずぶくれができる水疱性膿痂疹と、かさぶたができる痂疲性膿痂疹があり、それぞれ主な原因菌が異なります。顔などから皮疹が生じ、全身のあちこちに飛び火するように皮疹が増えていきます。接触により周辺の方にも伝染しますので注意が必要です。治療は抗菌薬の塗り薬や飲み薬になりますが、耐性菌の問題もあり、細菌培養検査により菌の同定を行うことで、より効果のある抗菌薬の選定を行います。また創部をガーゼで覆うなどの日常生活内における処置も重要になります。日常生活におけるご自宅での処置方法について、ご不安な点、ご不明な点があればお気軽にご相談下さい。

突発性発疹

生後4ヶ月~1歳頃までのお子様でみられます。赤ちゃんが初めて高熱を出して、数日間高熱が続き、熱が下がったと同時に、顔とからだにピンク色の皮疹が出るのが典型的な病歴です。熱性けいれんには注意が必要です。皮疹は基本的には経過観察で消退していきますが、塗り薬で対応していただくこともあります。

手足口病

5歳までのお子様に多い病気で、夏場に流行のピークを認めます。ウイルスの感染により、微熱や咳、くしゃみといった感冒様症状のあと2日程度で、手足に周囲にあかみを伴った小さい水ぶくれ、口腔内にも水疱性の皮疹ができます。皮疹は、腕や膝、臀部などに分布することもあります。ほとんどの場合、特別な治療を行わなくても回復しますが、髄膜炎の合併には注意をする必要があります。集団生活を送っている場合の登園停止は不要です。

川崎病

全身の血管炎と考えられていますが、原因不明の病気です。5日以上高熱が続き、両目の充血、イチゴ状舌と言われる舌全体の発赤、BCG接種部位の発赤、手足の浮腫など特徴的な症状が出ます。重大な合併症は心臓の冠動脈の障害であり、注意が必要です。免疫グロブリン大量静注などの専門的な治療を要します。

みずぼうそう(水痘)

水痘帯状疱疹ウイルスの初感染によります。感染力が強い、空気感染するウイルスです。小児に好発し、全身に虫刺されに似た水疱ができます。治療は抗ウイルス薬の飲み薬が主となりますが、塗り薬による処置でも対応します。皮疹が全てかさぶたになるまで、集団生活はお休みしていただきます。

シラミ症

シラミがヒトに寄生し、血を吸うことでアレルギー反応を生じ、激しいかゆみをきたす病気です。アタマジラミが有名で、保育園などで流行します。毛に付着した卵はフケのように見えますが、勢いよく振り払っても落ちないのが特徴です。治療には市販のフェノトリンシャンプーを使用しますが、虫卵には無効なため、専用のクシなどで直接虫卵を除去する必要があります。

じんましん

じんましん

全身のどこにでも生じる、地図状、円形状の、みみずばれのようなあかみ、かゆみで、数時間から24時間以内で消退するのが特徴です。特定の食べ物や薬剤で生じることもありますが、多くは特発性といって、原因が特定できないことが多いです。
6週間未満で症状が終息するものを急性じんましん、それ以上続くものを慢性じんましんと呼びます。
治療としては、塗り薬は効果が乏しく、抗ヒスタミン薬の飲み薬が一番となります。症状の強さに応じて、他の効果の飲み薬を併用することが多いです。
慢性じんましんでは、複数の飲み薬を併用して長期間にわたり飲んでいただくことや、日常生活のなかのストレスと密接に関わって症状が変化するため、おひとりおひとりの生活環境や生活スタイルに合わせた治療が必要です。
例えば、昼は飲み忘れてしまうことが多い、生活が不規則で食事に合わせて飲むことが難しい、眠気は出て欲しくないがしっかり症状をおさえたい、などのご希望があれば、お気軽にご相談下さい。
飲み薬だけでは治療が難しい場合は、症状を抑える注射薬の検討や、それでも重い症状が続く場合は、適切な医療機関へのご案内をさせていただくことがあります。

水虫

足水虫(足白癬)・爪水虫(爪白癬)

皮膚糸状菌が、皮膚の主に角質層に寄生することで生じます。かゆみなどの自覚症状は乏しいこともあります。足の指と指の間に、皮むけや水ぶくれ、じゅくじゅくした皮疹を認めたり、足の爪の白濁、肥厚や変形が主な症状です。顕微鏡検査で、それぞれの病変部の皮膚や爪から菌を検出して、診断します。治療は主に抗真菌薬ですが、足水虫の場合は、塗り薬による治療が主となり、爪水虫の場合は、塗り薬や飲み薬による治療を相談して行います。抗真菌薬はかぶれや薬疹、胃腸障害などの副作用が比較的多いため、注意して外用指導を行ってまいります。

その他の症状

薬疹

薬剤により誘発される、皮膚と粘膜の皮疹の総称です。浮腫を伴ったあかみやぼつぼつ、他にも多彩な皮疹ができます。薬歴(何をいつからどれだけ飲んだか)の聴取が非常に大切になります。原因となる薬剤を中止し、今後の使用も原則的には避けていただいた方が望ましいです。病変部位にはステロイドの塗り薬で対応しますが、重症化すると入院治療が必要になることもありますので、慎重に経過をみていく必要があります。

茶あざ(扁平母斑・カフェオレ斑・ベッカー母斑)

扁平母斑、カフェオレ斑は、生下時からある茶あざで、3歳頃までにはっきりしてきます。多発する場合は神経線維腫症などを考える必要があります。ベッカー母斑も同様の茶あざですが、思春期前後に発生し、多毛を伴うことが特徴です。いずれも、当クリニックでは保険適応でレーザー治療が可能です。効果には個人差がございますが、まずは一度ご相談にいらしてください。

青あざ(異所性蒙古斑)

蒙古斑は、新生児の臀部や腰部にみられる青あざです。2歳頃までは色調が濃くなり、その後10歳頃までには自然に消退してきます。ただし、臀部や腰部以外にできたものを異所性蒙古斑といい、こちらは自然消退しないことも多いため、治療の適応になります。当クリニックでは保険適応でレーザー治療が可能です。複数回照射の必要がございますが、まずは一度ご相談にいらしてください。

青あざ(太田母斑)

思春期以降の女性に多いのが特徴の青あざで、目の周りや頬などの片側の顔にできます。自然消退はしないため、レーザー治療が適応になります。複数回照射の必要がございますが、まずは一度ご相談にいらしてください。

赤あざ(血管腫)

イチゴ状血管腫や老人性血管腫のような赤あざです。ダーモスコピーという皮膚の拡大鏡を用いて、診断します。

あざ(老人性紫斑)

加齢変化により、血管や皮膚がもろくなり、ご本人の気付かないうちに、両腕や手の甲などに紫色のあざができてしまう状態です。

血管炎

溶連菌感染との関連のあるIgA血管炎が有名です。皮膚の特にすねなどにあざ(紫斑)を繰り返す場合は、採血や皮膚生検(皮膚の一部を手術で切り取って調べる)などで精密検査の必要があります。

酒さ

中高年の顔に好発し、顔全体のあかみ、血管拡張、にきびのようなぼつぼつが慢性的にできる状態です。ストレスや飲酒、日光、寒暖差などが悪化因子とされています。外的刺激に弱い状態になるため、化粧品や治療のための薬剤も合わないことが多く、治療がうまくいかないことも多い病気です。おひとりおひとりの皮膚の状態に合わせ、日常的なスキンケアをはじめ、塗り薬や飲み薬による治療を提案して参りますので、お気軽にご相談ください。

しもやけ(凍瘡)

指先や耳などに寒冷刺激で生じます。血流をよくするために足浴やマッサージ、塗り薬や飲み薬の治療をします。

やけど(熱傷)

熱湯や油、ときには化学薬品などでもやけどを起こします。軽いひりひり、赤みやむくみだけでとどまり、あとにならないものをⅠ度熱傷、みずぶくれができているものはⅡ度熱傷、それ以上はⅢ度熱傷となり、専門的な治療を必要とします。やけどは、受傷されたばかりでは、深さが決まっていないので、慎重に経過をみながら、塗り薬を適宜変えていく必要があります。関節部にかかっているものや深いやけどは、必要に応じて適切な近隣の連携先病院をご案内致します。

とこずれ(褥瘡(じょくそう))

仙骨のあたる部位や足の関節部などにできるきずで、深いものは筋肉や骨にまで達します。圧迫の軽減が基本で、適切な塗り薬などで治療を行います。

膠原病に伴う皮膚症状

全身性エリテマトーデスや皮膚筋炎、ベーチェット病のような膠原病に伴う皮膚症状としては、口腔内や爪、全身の皮膚に多彩な皮疹が見られます。皮膚症状から、全身の精密検査をして、膠原病の診断がつくことも決して稀ではありません。発熱や関節痛、倦怠感や体重減少、光線過敏など原因の分からないおからだの不調とともに、繰り返す皮膚症状に悩まれている方は、是非ご相談下さい。

壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)

すねや臀部、顔などに好発します。みずぶくれやぼつぼつなどから始まり、次第にそれぞれの皮疹が融合してきずを作ります。奇妙なきずが、同じ個所にできては瘢痕になり、またできては治りを繰り返します。炎症性腸疾患や関節リウマチ、白血病などの基礎疾患に合併することが知られています。なかなか治らないきずは壊疽性膿皮症を疑い、適切な大学病院などにご紹介を致します。

自己免疫性水疱症

尋常性天疱瘡や水疱性類天疱瘡といった、自己抗体(自分の皮膚を攻撃してしまうたんぱく質)ができることで、みずぶくれができる病気です。尋常性天疱瘡は中高年の口腔内の痛みを伴うびらん、水疱類天疱瘡は高齢者のかゆみを伴う水疱が多発するといった症状で、ステロイドの飲み薬による治療が必要になることが多いため、入院設備が整った適切な病院へご紹介させていただきます。

乾癬(かんせん)

厚い鱗屑(ふけ)とあかみ、ぼつぼつが全身に出る病気です。日本人の有病率は0.5%程度とされています。“乾癬”という名前ですが、感染はせず、遺伝的要因や免疫学的要因など複数の要素が原因と考えられています。病型により、関節炎や発熱などの全身症状を合併することもあり、注意が必要です。治療はステロイドの塗り薬、ビタミンD3の塗り薬、紫外線治療などを行います。飲み薬や生物学的製剤などの専門的な全身治療をすることもあります。

円形脱毛症

ストレスなどを契機に発症する脱毛斑で、数か月で自然に治ることが多い病気です。難治性の場合は、塗り薬や飲み薬、紫外線治療、液体窒素による凍結療法を行うこともあります。

爪の症状

爪が急に黒くなったなどご経験されるとご不安になるかもしれませんが、多くは機械的刺激に伴う出血(爪甲下出血)であることが多いです。そういった、治療を必要としない爪の症状から始まり、痛みを伴うひょう疽(化膿性爪囲炎)や巻き爪、他にも爪の変色や変形など、お悩みがあれば何でもご相談下さい。

汗の症状

多汗症や無汗症など、汗に関する悩みも、意外かもしれませんが皮膚科の病気です。まずはお気軽にご相談下さい。